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執筆者の写真キボタネ

【2021若者PJT】方清子さんの運動史聞き取り感想文

田中麻子

聞き取りプロジェクト7人目は方清子さんのお話を、2022年1月15日、16日の2回に渡って伺いました。

方さんは大阪で活動されているので撮影担当の私も大阪へ。大阪・鶴橋のコリアンタウンを抜け、方さんの元へ向かいました。


広島生まれ、中学時代からは大阪で暮らす方さんは在日朝鮮人です。

子供の頃には在日朝鮮人であることを隠していた方さんは高校卒業後から徐々に韓国文化に関わり始め、在日韓国青年同盟で韓国の民主化統一運動に取り組みます。精力的に活動していた方さんですが、次第に団体の権威主義・男性中心主義的な在り方に反発を感じ、韓国の女性の社会運動に刺激を受け1986年に在日韓国民主女性会を立ち上げます。

その後、在日朝鮮人女性として民族運動に関わる中、1990年、方さんは尹貞玉さんの取材記事を通して「慰安婦」問題に出会います。方さんは実は以前に韓国、朝鮮の歴史を学ぶ中で「慰安婦」問題のことも学んではいたのですが、その時は「あまりにもつらくて恐ろしい話だったので、知らない聞かないふりをしたというか、自分の心に蓋をしてた」と語ります。

90年に「慰安婦」問題と再会した方さんは今度は「逃げたらあかん」と問題に取り組み、資料集の作成、裴奉奇ハルモニの追悼集会、「慰安婦」被害者の情報を募る「従軍慰安婦110番」、国民基金への反対運動、「アジアの平和と女性の役割」というシンポジウムの開催などを大阪から行っていきます。

アジア連帯会議や女性国際戦犯法廷への参加などを経て、2004年からは全国で証言集会を開いていきます。

また、一貫して大阪という地域で水曜集会や映画の上映会、市議会への意見書の提出などの活動を行い、今も引き続き活動されています。


方さんのお話を伺い、「在日朝鮮人」としての活動と「大阪」という地域での活動のことが特に印象に残りました。

子供の頃の経験や民族運動の中で方さんが感じた在日朝鮮人としての歯痒さは日本人として生きてきた私からは想像のつかないほど複雑な問題であることが伝わってきました。同時に、韓国の活動家たちとの関わりが強かったからこそ日本で行う民族運動や「慰安婦」問題への取り組みに韓国の視点や良いところを取り入れて躍進してきたのだと感じました。

また、私は今まで東京を中心とした活動しか知らなかったため大阪での活動の話はとても興味深く、特に市議会への意見書採択運動は地域で深く関わっていなければできないことなので、自分のいるところに腰を据えて地域の市民と連帯し運動を広げていく草の根運動の大切さやそのパワーを実感しました。

そして何よりも、方さんの明るくパワフルな運動への向き合い方と朗らかさの中にあるとてつもない意志の強さには私も勇気を分けてもらいました。

改めまして、貴重な体験をお話しくださりありがとうございました。

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